恋も二度目なら少しは上手に愛のメッセージを伝えると古の歌にある。マイブームのかけそば探訪も八軒目となると、さすがに手慣れてくるかと思いきや、そうでもない。
立ち食い中心だからやむをえないけど、とにかく券売機でのかけそばの位置がバラバラである。人気がないのか、採算性が悪いのか、隠すように配置されていることもある。
ともあれ、こちら独立系の立ち食い店。田舎そばが基本だけど、+10円で更科そばに変更ができる。まずは基本の田舎そばでいいや、と券売機をじっと見つめる。
見つけたのは将棋でいえば桂馬あたり、地味な位置にかけそば。名誉のためにいえば桂馬は「三桂あって詰まぬことなし」と称されるほどの駒です。あくまで位置の話。
ともあれ、食券を提出すると前客より早く呼び出されて気まずい。なるほど、朝イチだと揚げものが受注生産になるので、かけそばのほうが早く出てくるわけだ。
田舎そばはみるからに太めで、すすり込むと、少しそばの風味を感じる。よく噛めば粉っぽさがあって、歯ごたえも楽しい。もりそばで食べてもおいしいやつだ。
ツユをゴクリ、ダシがきいたうえにカエシも濃厚で掛け値なしにおいしい。朝イチだから、ダシもフレッシュなのだろうな。七味をハラリとかけ、一気呵成にすする。
やはり、かけそばは油分がないぶん、店本来の個性がわかりやすい。それに具がないので心理的にも、物理的にも食べやすい。揚げたての天ぷらは、またの機会にしよう。
ごちそうさまでした。