今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 576)マグロの鉄火丼定食

 

鉄火とは溶けた真っ赤な鉄のことで、転じて真っ赤なマグロの赤身をさす。丁半サイコロの賭博場=鉄火場で、片手で食べられるマグロの巻物が好まれたからともいう。

 

ともあれ、本日のお昼はマグロの鉄火丼。マグロ以外に鉄火丼があるのかは知らないけど、暑いなかサッパリいただけそうである。お茶を飲みつつ、到着を待ちわびる。

 

食エッセイの一人横綱東海林さだお先生は、カツオ丼を「鉄より数倍おいしい」から「銀火丼」と名づけた。氏が連載していた週刊朝日の休刊はつくづく残念である。

 

しかし、カツオもいいけど、やはりマグロの人気は不動であろう。寿司ネタ人気ランクでは1位はサーモンだけど、赤身、ねぎとろ、トロなどマグロ系は上位を占める。

 

さて、マグロ丼。マグロの赤と細切り大葉の緑が色鮮やかで、クリスマスカラーの煌めきである。ワサビ醤油を回しかけてひと口食べれば、ねっとりしてうっとりする。

 

マグロは鉄分豊富だけど、鉄の味までは感じられない。鉄の味って言われると、幼い頃から鉄棒を舐めたときの味だと思っているけど、あれはサビの味かもしれない。

 

白米に敷き詰められた海苔の香りも加わって、丼ぶりとしての完成度は高く、もりもり食べては味噌汁でひと息つく。小鉢の塩気を利用してごはんを多めに食べてゆく。

 

すると終盤は、マグロ3切れに対して、ごはん少々という嬉しい状況となる。貧乏くさいというか、いじましい食べ方だけど、食事の最後までマグロを楽しみました。

 

ごちそうさまでした。