今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 373)本マグロの鉄火丼

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マグロの巻き物はなぜ鉄火巻きなのか。真っ赤に熱せられた鉄を「鉄火」というので、マグロとの色の類似から連想されたのだとか。


博打を打つところを鉄火場というのは、鉄を打つ場所のように熱くなるからとも、「金」を「失」うから鉄火とも。なるほどね。


偶然ながら、マグロの赤身は鉄分も豊富なのが面白い。こちらは本マグロなので、お金は失うけど、それ以上に鉄分がとれそうです。


そういえば、東海林さだお先生はカツオの刺身で「銀火丼」をつくってたな。鉄火よりもおいしいから、銀火と名づけたんだとか。


ともあれ、本家本元本マグロの鉄火丼、おいしくないわけがない。丼ぶり飯の上にストーンヘンジのごとく円環の切り身が並びます。


角が立つほど新鮮なマグロをひと切れ持ち上げて、ワサビ醤油をすこしつけて食べれば、ねっとり、うっとり、思わず陶然となる。


なんとか正気を取り戻し、ほかほかご飯をかきこむ。小鉢にお新香、梅干、昆布煮もあるので、米余りの心配なくマグロを食べよう。


ちょっとだけ醤油につけたり、しばらく漬けにしたり、ワサビを多めにつけたり、健気に味変を楽しみつつ、ご飯をかきこんでいく。


不動の人気寿司ネタ1位だったマグロも、近年はサーモンにその座を譲り渡したとか。でも歳をとると、しみじみ赤身がおいしいや。


ごちそうさまでした。