多国籍料理。知ってるようで、実態はよくわからない。調べてみると「さまざまな国や地域の食文化を組み合わせた料理、無国籍料理ともいう」らしい。
一方で、多くの国の料理を取り扱う店を多国籍料理店ともいうらしく、また、狭義の無国籍料理は、どこの国の食べ物ともいえないものを指すらしい。
すると、日本の誇る洋食や、アメリカ生まれのカリフォルニアロールなどが無国籍料理に該当するのだろう。では、こちらのアジアンダイニングはどうか。
ナンカレーがメインだけど、店内にガネーシャ像を飾るほどはインドに傾倒しておらず、印僑ではなくネパール人が営んでいるのかもしれないが、詮索はヤボ。
メニューを開けば、東アジアから南アジアまで、多国籍の料理が並んでおり、アジアンダイニングの名に恥じない。特に麺の充実が白眉である。
フォーガー:ベトナム
カレーフォー:ベトナム+インド
トムヤムフォー:ベトナム+タイ
カレーうどん:インド+日本
ガパオライス:タイ
どれも魅力的だけど、麺類はライス、サラダ、ドリンク付きなので、ちょっと量が多いかな。ご飯ものの2択で、ミニカレー付きのガパオライスにする。
どこの国出身かはともあれ、何カ国もの料理を一手に作るわけで、その守備範囲の広さに感心する。サラダを食べていると、ガパオライスのお目見え。
白米、挽き肉、目玉焼き。私の数少ないタイ料理経験からすると、見紛うことのないガパオライス。白米に挽き肉をまぶしながら食べると、ピリ辛でおいしい。
タイのひとが食べればいろいろ言いたいかもしれないけど、こちとらおいしければそれでOK。水を飲んで舌をリセットして、インドカレーを少しだけ舐める。
はじめ甘くて、やがて不思議なスパイスの香りがして、辛みを感じてくる。いかにもインドカレーといった味わい。こちらにも白米を消費するのて、忙しい。
目玉焼きの黄身をつぶし、まろやかさを加えつつガパオを味わい、返す刀でチキンカレーを堪能する。ほんの十数㎝の往復だけど、文化としては大移動です。
…もし、外国を訪れて、アジア料理店に入り、日本人ではない人が寿司、そば、すき焼き、肉じゃがなどを出していたら、私はどう思うだろうか。
おいしいけど、どこか違う。でも周りは日本料理として楽しんでいる…難しいけど、それはそれでありかな。そんなことを思いつつ、食後のコーヒーをすする。
ごちそうさまでした。