今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 508)赤飯幕の内弁当

 

クリスマスから新年にかけて、街は華やかである。ところが松の内をすぎると、急に愛想がなくなり、いつものコンクリートジャングルに逆戻りとなる。

 

おいしかった餅も鏡開きを待つのみで、特に食指が動かない。もち米は独特の食感があり、おこわや赤飯に用いるとおいしいけど、結局イベント食なのよね。

 

で、日替わり弁当に赤飯幕の内をみつけ、一も二もなく購入する。特にめでたいこともないけど、食べられるもんなら食べておきたい。それがお赤飯です。

 

付属の味噌汁で箸を湿らせ、まず赤飯をもぎとりにかかる。冷めた赤飯はお互いを守るようにくっつき合い、なかなかの抵抗を見せる。なかなか、やるな。

 

まだ抵抗するのなら!とカミーユ・ビダンのように思いつつ、ひと口大を取り分けて頬張る。赤飯は冷たいほうがおいしさがよくわかりますね、ムチムチです。

 

赤飯に負けず劣らず、脇を固めるのはオカズヂカラ十分なメンバー。塩鮭、和風ハンバーグ、鶏からは本来なら主役を張れるのに、赤飯の脇役に甘んじてます。

 

まるでカミーユの周りにいるシャアやアムロのようだ。などと妄想をこじらせるランチタイム。数え五十なのだから、ガンダムで例えるのはいかがなものか。

 

ともあれ、おいしい赤飯と文句なしのオカズたちは至れり尽くせり。おいしくいただいて、最後に味噌汁をゴクリ。まだだ、まだランチは終わらんよ、ってね。

 

ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 815)醤油ラーメン

 

寒い日は温かい汁物が嬉しい。まして、寒い地域の名物ならば、体を温めるノウハウが詰め込まれていて、文句なしにおいしい。そこで、アツアツのラーメン。

 

札幌みそラーメンが売りのこちら、店前の看板の人気メニューによれば「1番辛みそ、2番みそ、3番チャーハン」とか。どれもおいしそうだとノレンをくぐる。

 

券売機とニラメッコすれば、新作だろうか「半チャーハン、半餃子セット」を発見。ひどく心揺さぶられたけど、初心通りに汁物にしよう。あえての醤油かな。

 

札幌はみそラーメンが有名だけど、北海道はだだっ広いので、旭川の醤油、函館の塩などご当地ラーメンも多い。ただしこちらのは「札幌風醤油」です。

 

やってきたのは茶色いひと品。いわゆる東京の中華そばと異なり、ナルトや海苔などはなく、渋めの色遣いです。油がたっぷり浮いており、アツアツの予感。

 

匙でひと口飲めば、結構な熱さで、一気に胃が燃えてくる。麺をすすれば、これまた熱く、ふうふうと冷ましつつ食べゆく。ネギもどんどん煮えていきますね。

 

お隣の学生さんは、ランチサービスで麺を2玉にした上にライスもつけており、若さあふれる胃袋にちょっと嫉妬する。炭水化物で満腹にできる年頃なんだな。

 

私の選んだランチサービスはもやし増量。健康を意識するなら、本来ラーメン屋にくるべきではないのに、日和ってしまう根性なしの自分がいます。

 

ともあれ、メンマはコキコキと歯ごたえよし。チャーシューもとろとろで言うことなし。途中でコショウをふって味変しつつ、おいしく完食。ふう、温まった。

 

ごちそうさまでした。

定食春秋(その 507)鮪・鮭ぶっかけ丼

 

昨日は食べすぎたので、朝はインゼリーのみ。お昼にはお腹がすいてくるけど、ここで食べすぎてはいけない。海鮮ならヘルシーだろうとノレンをくぐる。

 

日替わりはタルタルたっぷりのエビフライ丼、おいしそうだけど油ものだからなぁ。メニューを眺めて、鮪・鮭ぶっかけ丼に目を止める。こんなのあったっけ。

 

一目惚れで注文して、しばし待つ。ごはんをよそって、盛りつけるだけといえばそうだけど、プロがやるとそれなりに仕上がってくるのが不思議なところ。

 

細かく刻まれた鮪と鮭の刺身、たっぷりの刻み海苔、期待に違わぬメンバーに加え、添えられたガリもきっといい働きをすることでしょう。思わず、にっこり。

 

だし醤油と黄身を軽く混ぜて、ワサビを入れてさらに混ぜる。トロリとしたところで丼ぶりにかけて、いざ実食です。匙がついてきたので、ガツンと差し込む。

 

ひと口食べると、どこにいたのか、鰹節の香りに包まれる。鮪、鮭はそれぞれおいしいけど、鰹までが参戦して、思いがけないジェットストリームアタック

 

鼎のごとく三者三様の働きですが、それらをまとめる黄身のコクもまた見事。もりもり食べゆけば、底のほうにはだし醤油がたまっていて、濃ゆい味わい。

 

刺身を残し気味に食べていたので、最後は刺身の合間に米がある状態。塩分はさておき、脂質ほかは少なめだろうし、あすけんの未来さんもお喜びでしょう。

 

ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 814)辛麺

 

 

商店街にある居酒屋さん。ランチメニューの辛麺が気になっていたけど、扉がスナックのように重厚で警戒感が拭えず、何年も素通りしてきました。

 

ランチタイムも終わりがけの13時半。林先生の「今でしょ」が聞こえた気がして思い切って扉をあける。店内はウッディな雰囲気で、怖いお兄さんはいない。

 

いらっしゃいませー、と気持ちのよい挨拶に促され着席。カウンターの向こうの壁にはブランド焼酎の一升瓶がズラリ。常連さんが多そうな印象です。

 

予定通り宮崎県延岡市名物という辛麺を注文。辛さが0から10まで選べるので、穏当にレベル3。中華麺、こんにゃく麺、ライスの3択から中華麺を選ぶ。

 

メニューをみるに、辛麺とは「しょうゆベースのスープにたまご、ニラ、ひき肉、ニンニクが入った1品」とのこと。蒙古タンメンのようなイメージかな?

 

ひと息ついて、改めて店内を眺めれば、どうやらクラフトビールの種類も豊富なようす。一人で外酒をする習慣がないけど、機会があればランチに飲もうかな。

 

で、紙エプロンとともに辛麺のおなり。みたところ、川崎名物ニュータンタンメンのようなイメージ。スープをひと口飲めばレベル3だけどかなり辛い。

 

唐辛子の輪切りが浮いており、ラー油のパンチもきいて、クセになるスープ。ゆるやかなウエーブの中太麺がよくからみ、スルスルと食べれば、唇がイタイ。

 

玉子とニラの甘みはあれど、圧倒的なスープの質量の勝ち。辛麺の名は伊達じゃないな。ホクホクに火が通ったニンニクもたっぷりで、南国の麺って感じ。

 

汗をかきつつ麺を食べ終え、ひと口だけもらったサービスライスにスープをかけて雑炊風に。これまた胃に沁みるおいしさで、最後までスキのない味わい。

 

宮崎県は未踏の地だし、サクサクのあかぎあいちゃん&シーガイアの印象が強い。ましてや延岡に行く機会はなかなかなさそうなので、貴重な一食でした。

 

あとで調べると、本場の延岡では、そば粉を練り込んだこんにゃく麺で食べるというので、次回試してみよう。文字通り新しい扉を開いたランチでした。

 

ごちそうさまでした。

定食春秋(その 506)中華丼 in 日高屋

 

和風中華というジャンルがある。複雑に進化したラーメン、ニンニクのきいた焼き餃子、サッパリと食べられる冷やし中華など枚挙に暇がない。

 

そんな和風中華の1つが中華丼。野菜や海鮮のトローリ餡かけは、丼ぶりめしと相性がよい。ようは八宝菜丼なんだけど、中華丼という名づけが絶妙である。

 

仮に自分が外国で「日本丼」を出すとすればなにをのせるだろうか。漬けマグロの中央に卵黄なんてどうだろう。タイを加えて紅白丼にしてもいいな。

 

などと妄想していると、やってきました中華丼。見たところ、白菜、にんじん、ブロッコリー、エビ、かまぼこ、豚こま、うずらの玉子。惜しい、7種類。

 

八宝菜の「八」は、五目の「五」と一緒で数そのものを示すのではなく「たくさん」くらいのニュアンスらしいけど、どうせなら8種類だとキリがよかったな。

 

レンゲを差し込めば、もったりした餡かけの重み。具材はいろいろだけどメインは白菜です。シャクシャクと歯ざわりよく、旬だからか甘みもしっかり。

 

貧乏性なので、うずらの玉子をお楽しみに残しつつ、ガブガブ食べてゆく。野菜がたくさん食べられるし、アツアツを食べるとお腹が温まるし、いうことなし。

 

ほとんど食べ終えてから、添えてある中華スープを思い出し、スルスルといただく。サッパリした味わいで濃厚な餡かけを流し去り、うずらの玉子をパクリ。

 

ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 813)ごぼう天うどん

 

日本全国、食の地域性は土地に根ざした歴史であり実に興味深い。もちろん立ち食い界隈にも地域差があり、当たり前だけど東京の常識は日本のそれではない。

 

名古屋ならそばよりきしめんだし、西日本ではうどんが強い。トッピングも関西の刻み揚げ、讃岐のかまたま、博多の丸天など個性にあふれている。

 

でも、旅行で立ち食いへは行きづらい。一人旅ならまだしも、家族旅行ではさすがに着席させて欲しいの圧力がかかり、豊かな立ち食い文化に触れられない。

 

で、こちらは横浜駅で博多風うどんを出す星のうどん。丸天はないものの、黄金のダシにやわめのうどんが泳ぎ、シンプルなのにまったく食べ飽きない。

 

本日はいかにも博多うどんらしいごぼう天なぞ。以前は細切りのかき揚げ風だったけど、削ぎ切りに変わってますね。まずは、七味をふりかけ、生姜をのせる。

 

ごぼう天を頬張れば、カリッとした衣、ゴリゴリとしたごぼうコントラストが楽しい。やがてごぼう天はハラハラ離れゆき、個々の削ぎ切りとなる。

 

やわらかくて咀嚼もそこそこでよいうどんと、顎の疲労度を上げるごぼうコントラストが美しい。それにしてもごぼうを食べると、米軍捕虜の話を思い出す。

 

https://socius-lover.hatenablog.com/entry/2020/04/14/070300

 

↑以前もブログで書いたけど、食文化の違いはなかなか埋めがたいのかもしれない。東京と九州の立ち食い麺ですら、こんなに違うワケだからね。

 

ともあれ、おいしくズルズル、モムモムといただく。最後に残るダシは、塩分を気にしてひと口だけ。七味と生姜がきいており体が芯から温まります。

 

ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 812)明太子クリームうどん(小)in なか卯

 

近所のスーパーは、三が日をお休みするという。僭越ながら、それでいいと思う。いつも忙しい小売の人たちが、しっかり休める世の中であってほしい。

 

そもそも昭和のお正月は電車などの交通インフラを除けば、どこも休みだった。バブルが近づくにつれコンビニなどができて、24時間たたかう平成になった。

 

主婦が休むためのおせち料理は、保存食だから濃い味つけだけど、年末年始も小売店があいているので、ありがたみが薄れて、絢爛豪華の方向になびいている。

 

そんな令和のお正月。初詣客をつかまえるべく、外食産業は店をあけている。頭の下がる思いで売り上げに貢献すべく、なか卯で明太子クリームうどんを。

 

見た目は日の丸弁当のような、紅白のコントラストが美しいひと品。縁起物とされる紅白の組み合わせは、源平の旗にも由来するとか。鎌倉殿、面白かったな。

 

まずは匙で明太子を軽くほぐして、ツユとともにゴクリ。明太子の鮮烈な辛さとクリームの濃厚さ、これにバターの芳醇さが加わるんだから力強い。

 

うどんを啜れば海苔の香りも参戦して、麺まで和風にしたパスタという印象。小サイズなので具材が相対的に多く、結果として味が濃いのも味わいのうち。

 

ツルツルしたうどんが喉越しよく、ただただ幸福。おいしいものを、好きなときに食べられる健康に感謝しつつ、今年も、しあわせのかたちを探そう。

 

ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 811)肉玉そば in 豊しま

 

年越しそばは、江戸時代から続く習慣らしい。由来はさまざまに言われているけど、今も残るということは、現代人の気質にもうまく馴染んでいるのだろう。

 

自宅では毎年、温かい鴨つけそばで年越しをする。冬に脂ののる鴨と、普段よりちょっと贅沢した麺つゆ、同じく少しお互いそばで、そば湯までいただく。

 

で、2022年の年忘れベストそばは、立ち食いの肉玉そばでした。おいしいとか、コスパではなく、立ち食い派の心を揺さぶられる味わいなのです。

 

再開発でなくなったと思っていた立ち食いそば屋が、キレイなビルの一角にまさかの再臨。そんなストーリー性に加えて、パンチのきいた味がたまらない。

 

お気に入りは肉玉そば。口頭で注文すると、店員さんが復唱とともにそばをつかみ、ゆがき始める。水を汲んで、カウンターの隅を陣取るころに、出来上がり。

 

七味をパッパとふりかける。アツアツのツユで玉子が固まる前に丼ぶりに口づけて白身を飲み込んじゃう。ツユの濃さをまとった白身のなんとまろやかなこと。

 

そばは茹でおきだけど、これがいい。

豚肉は臭みがあるけど、これでいい。

七味がやたらきくけど、これでこそ。

ツユはしょっぱいけど、これでなきゃ。

 

夢中ですすれば黄身に熱が入ってくる。黄身を箸で突き刺せば、トロリ溶け出す濃厚なコク。それをからめてすき焼き気分で残る肉を頬張れば、いうことなし。

 

スツールもない、純正立ち食い店も少なくなりました。貴重な漢メシだけど、立ち食い店のサイクルは速い。余韻を水で打ち消して、熱気を帯びて店を出る。

 

今年も一年健康でいられたこと、いつもお値段以上の食事を出してくれる飲食店、いろいろありながらも平和な日本。各方面に感謝しつつ、年を越してゆく。

 

ごちそうさまでした。

定食春秋(その 505)ハンバーガーセット

 

団塊ジュニアにとって、ハンバーガーは特別な食事だった。マクドナルドで誕生会なんて、今では冗談みたいだけど、昭和50年代の小学生にはマジ憧れだった。

 

牛肉輸入自由化、バブル〜円高、デフレなど世の流れもあり、ハンバーガーは日常食、ランチの選択肢の1つになった。クラスのマドンナに手が届くのである。

 

21世紀になるとファーストフードではない、本格ハンバーガーが黒船襲来した。お値段はさておき、ボリューミーかつジューシーなハンバーグは魅力的である。

 

しかし原初体験の刷り込み効果か、やはりマックもおいしく、やはり世界に冠たるチェーンは伊達じゃない。こちらは、マックと本格派の間のやや本格寄り。

 

香ばしいバンズ、焼きたてのハンバーグ、シャキシャキレタスに、清冽なトマト。さんざんマックと言ってきたけど、実はモスバーガーのほうが近いかも。

 

押し潰してかぶりつくと、どこかインドカレーのようなスパイスの香り。ハンバーグの脂の旨みと野菜の爽やかさが打ち消し合い、実質0カロリーじゃないか。

 

揚げたてのポテトも、カリッ、ホクッ、とケチャップが似合う。サラダのドレッシングがしみたところも、ポテトチップスフレンチサラダ味っぽくていいね。

 

食べてしまえばあっという間。なんならもう一周食べたいほどです。自宅でつくれそうで、決して再現できないこの味はやはり高嶺の花、マドンナですね。

 

ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 810)博多ラーメン

 

地名を冠にいただくラーメンは、まず間違いなくおいしい。現地で評判だからこそ、支店が広がるわけなので、当たり前かもしれないけど、改めてそう思う。

 

欲を言えば、東京より地方の地名のほうが旅情も感じられて、なおうれしい。函館、喜多方、高山、尾道など、行ったことはないのに、なぜか親しみがある。

 

で、博多。新幹線の駅名にもあるから、なんとなく福岡の大半を占めている気がするけど、博多区の、さらにごく限られた地域が博多を名乗れるのだそうだ。

 

東京でいうと神田あたりだろうか。全国的な知名度はともあれ、神田祭も有名だし、江戸っ子チャキチャキという印象。ラーメンではなくそばが有名だけど。

 

さて、博多ラーメン。当然、現地ではラーメンとしか呼ばれないだろうけど、誰しもが白濁した豚骨スープと、細ストレート麺を思い出せるブランドラーメン。

 

卓上に無料トッピングがあるのが、本格派で嬉しい。細麺は程なく茹で上がり、辛もやし、紅生姜、高菜をのせて箸を割る。マスクを外せば食欲をそそる香り。

 

塩分を気にしてレンゲは用いず、麺をすすり込んでスープも味わう。くさみではなく旨みを感じられるクリーミーなスープとアルデンテの麺はベストタッグ。

 

猪木と馬場、王と長嶋、キン肉マンテリーマン。例えが昭和だけど、これがベストだよね。猪木と坂口、王と張本、キン肉マンとカメハメではないのよね。

 

卓上のゴマをすり、フレッシュな香りを重畳する。紅生姜の酸味、もやしの辛味、高菜の塩味がスープに溶け出し、複雑ながらそれぞれキャラの立つ味わい。

 

博多ラーメンは細麺でのびやすく、大盛りがないかわりに、みな替え玉をしている。しかし、こちらはビール腹を引っ込めるまでは、欲しがりません。くぅっ。

 

麺を食べ終えスープの底から煮えた紅生姜をサルベージして、水をグイと飲んで箸を置く。現地に行くほどアクティブではないので、また都内で味巡りしよう。

 

ごちそうさまでした。